
こんにちは、スタッフ高下です。
シマノから、新型DURA-ACEロードホイール「WH-R9370シリーズ」が発表されました!
今回のWH-R9370シリーズは、シマノが掲げる開発コンセプト 「Science of Speed(サイエンス・オブ・スピード)」 のもとで誕生した、新しいフラッグシップホイールです。
「Science of Speed」は、軽さや空力性能だけを追求するのではなく、
- 軽量性
- 空力性能
- 剛性
- 回転性能
- コントロール性能
- 信頼性
これらすべてを高いレベルでバランスさせるという考え方です。
その思想を実現するため、WH-R9370シリーズではリム・スポーク・ハブを個別のパーツではなく、一つのホイールシステムとして開発。ライダーが実際に乗車した状態までシミュレーションし、それぞれの性能を最適化しています。
その中でも最大のトピックが、シマノのロードホイールとして初となるカーボンスポークの採用です。
しかし、進化したのはスポークだけではありません。
リム・スポーク・ハブを一から見直し、軽量性・空力性能・剛性・回転性能に加え、メンテナンス性までブラッシュアップ。約5年の開発期間を経て完成した、新世代のDURA-ACEホイールとなっています。
全5モデルをラインアップ
WH-R9370シリーズは、用途に合わせて5モデルがラインアップされています。
| モデル | リムハイト | ペア重量 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| WH-R9370-C36-TL | 36mm | 1,170g | ヒルクライム・山岳コース |
| WH-R9370-C50-TL | 50mm | 1,302g | オールラウンド |
| WH-R9370-C60-TL | 60mm | 1,389g | 平坦・高速巡航・スプリント |
| WH-R9370-C99-TL-F | 99mm | 792g(フロント) | TT・トライアスロン |
| WH-R9370-D-TL-R | ディスク | 987g(リア) | TT・トライアスロン |
ロードレース向けはC36・C50・C60の3モデル。
さらに今回は、シマノブランドとして初めて99mmハイトのフロントホイール(C99)と、ディスクブレーキ対応リアディスクホイールがラインアップに加わりました。
シマノ初のカーボンスポークを採用
WH-R9370シリーズ最大のトピックが、シマノのロードホイールとして初めてカーボンスポークを採用したことです。
近年ではカーボンスポークを採用するホイールが増えていますが、シマノは軽量化だけを目的に採用したわけではありません。
約5年の開発期間をかけ、軽量性・剛性・耐久性・信頼性のバランスを重視して開発。金属スポークとの比較試験に加え、耐衝撃試験や耐久試験、製造工程や品質管理まで見直し、レースで安心して使用できる品質を目指しました。
モデルごとにスポーク構成まで専用設計
WH-R9370シリーズは、リムハイトだけを変えたシリーズではありません。
モデルごとにスポーク本数やスポーク形状まで最適化されています。
| モデル | フロント | リア | 採用スポーク | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| C36 | 18本 | 21本 | エアロカーボンスポーク | 軽量性・反応性重視 |
| C50 | 21本 | 21本 | エアロカーボンスポーク | バランス重視 |
| C60 | 21本 | 24本 | エアロカーボンスポーク | 高剛性・高速巡航重視 |
| C99 | 16本 | ― | スーパーエアロカーボンスポーク | 空力性能最優先 |


スポーク自体も2種類が用意されています。
| 種類 | サイズ |
|---|---|
| エアロカーボンスポーク | 幅4.0mm × 厚さ1.1mm |
| スーパーエアロカーボンスポーク | 幅5.2mm × 厚さ0.8mm |
C99に採用されるスーパーエアロカーボンスポークは、より幅広で薄い形状とすることで、高速域での空力性能を追求しています。
一方、C36・C50・C60は、それぞれの用途に合わせてスポーク本数を変更。
例えばC36はスポーク本数を抑えることで軽量性とレスポンスを重視し、C60はリア24本とすることで、高速巡航時やスプリント時の駆動剛性を高めています。
リム・スポーク・ハブを一体で設計
WH-R9370シリーズでは、リム・スポーク・ハブをそれぞれ独立したパーツとしてではなく、一つのホイールシステムとして設計しています。
例えばスポーク本数が変われば、ハブフランジの形状やサイズも変更。
リム形状やスポークテンションも含めて最適化することで、それぞれのモデルが求める性能を引き出しています。
ハブにもモデルごとの違いがあります。
- フロントハブは空力性能を重視したスリムな形状
- リアハブは駆動剛性を重視した専用設計
- スポークの固定方法も見直し、耐久性や整備性を向上
こうした細かな設計変更も、ホイール全体の性能向上につながっています。
最大220gの軽量化を実現
WH-R9370シリーズは、前モデルのWH-R9270シリーズと比較して最大220g(ホイールセット)の軽量化を実現しました。
| モデル | WH-R9270 | WH-R9370 | 軽量化 |
|---|---|---|---|
| C36 | 1,350g | 1,170g | -180g |
| C50 | 1,461g | 1,302g | -159g |
| C60 | 1,609g | 1,389g | -220g |
この軽量化は、カーボンスポークだけによるものではありません。
リムのカーボンレイアップやハブ構造も見直し、ホイール全体を一から設計することで、軽さと剛性、耐久性を両立しています。
特に注目したいのがC60です。
60mmハイトのディープリムながらペア重量は1,389g。前モデルのC50(1,461g)よりも軽量に仕上がっています。
ホイールは回転体のため、重量の変化は加速や登坂、コーナー立ち上がりなど、さまざまな場面で走りに影響します。
軽量化だけでなく、高い剛性や空力性能も両立している点が、WH-R9370シリーズの大きな進化ポイントです。
前後で異なるリム形状を採用
WH-R9370シリーズでは、フロントとリアで異なるリム形状を採用しています。
その理由は、走行中に受ける風の流れが前後で大きく異なるためです。
フロントホイールは最初に走行風を受けるため、空力性能だけでなく、横風を受けた際の安定性やハンドリング性能も重要になります。
一方、リアホイールにはフレームやライダーを通過した乱れた空気が流れ込むため、フロントとは異なる設計が求められます。
WH-R9370シリーズでは、ライダーが乗車した状態まで想定してシミュレーションを実施。速度やヨー角(風が斜めから当たる角度)など、さまざまな条件を解析し、それぞれのモデルに最適なリム形状を採用しています。
さらに、開発では膨大な数のリム形状を比較・検証しています。
| モデル | 解析したリム形状 |
|---|---|
| C36 | 200万通り以上 |
| C50 | 540万通り以上 |
| C60 | 650万通り以上 |
| C99 | 2億通り以上 |
| Rear Disc | 300億通り以上 |
特にTT・トライアスロン向けのC99とRear Discでは、より高速域を想定した大規模な解析が行われています。
28〜30Cタイヤに合わせた23mm内幅リム
近年のロードレースでは、28C〜30Cタイヤがスタンダードになっています。
転がり抵抗やグリップ性能、快適性などのバランスに優れ、多くのトップカテゴリーで採用されています。
WH-R9370シリーズでは、この流れに合わせてリム内幅を21mmから23mmへ拡大しました。
もちろん、単純にワイド化したわけではありません。
シマノでは、タイヤとリムを組み合わせた状態で空力性能や操縦安定性を検証し、現在のレースシーンに最適なサイズとして23mm内幅を採用しています。
推奨タイヤサイズは28〜30Cですが、最大45Cまで対応しているため、幅広い用途で使用できます。

空力性能もさらに向上
リム形状と23mm内幅リムの採用により、空力性能も進化しています。
シマノの風洞実験では、30Cタイヤ・48km/hで比較した場合、前モデルより最大2.7W空気抵抗を低減。
さらに、シリーズの中心となるC50は、前モデルのC60を上回る空力性能を実現しています。
50mmハイトという扱いやすさを維持しながら、より高い高速巡航性能を目指した設計となっています。
カップ&コーンハブを継続採用
WH-R9370シリーズでは、ハブにシマノ伝統のカップ&コーン方式を引き続き採用しています。
近年はカートリッジベアリングを採用するホイールも増えていますが、シマノでは実走を想定した比較テストを実施しました。
ホイール単体を空転させるだけではなく、垂直荷重500N、駆動方向荷重200N、スルーアクスル締付力5,000Nを加え、ライダーの体重やペダリング、ダンシング、コーナリング時に発生する力まで再現。この条件下ではカップ&コーン方式が一般的なラジアルカートリッジベアリングと比較して、回転トルクを約30%低減したとしています。
また、スルーアクスルを締め付けるとベアリングには軸方向の荷重が加わりますが、カップ&コーン方式は玉当たり調整が可能なため、バイクに装着した状態で回転性能を最適化できることも特徴です。
シマノが今回もカップ&コーン方式を採用したのは、従来の構造をそのまま引き継いだからではなく、比較・検証を重ねた結果によるものです。
メンテナンス性・耐久性もさらに向上
新型ハブでは、回転性能だけでなく、長く使い続けるためのメンテナンス性も見直されています。
新たに採用されたのが、交換可能なベアリングカップです。
従来はハブ本体側のボールレースが摩耗・損傷すると修理が難しいケースもありましたが、新型ではベアリングカップを交換できる構造となり、長期間の使用を考慮した設計になっています。
さらに、新しいシール構造も採用。
雨天走行だけでなく、洗車時などに侵入する水への対策も強化され、防水性や耐久性の向上にもつながっています。
整備には従来どおり一般的な工具を使用できるため、メンテナンス性もしっかり考えられています。
TT・トライアスロン向けモデルも新たにラインアップ
WH-R9370シリーズでは、ロードレース向けのC36・C50・C60に加え、TT・トライアスロン向けモデルも新たに追加されました。
シマノブランドとして初となる99mmハイトのフロントホイール「WH-R9370-C99-TL-F」と、ディスクブレーキ対応リアディスクホイール「WH-R9370-D-TL-R」がラインアップされています。
WH-R9370-C99-TL-F
C99は、タイムトライアルやトライアスロンでの高速巡航を想定した99mmハイトのフロントホイールです。
16本のスーパーエアロカーボンスポークを採用し、専用設計のリム形状と組み合わせることで、高速域での空力性能を追求しています。
WH-R9370-D-TL-R
リアディスクホイールは、フルディスク構造を採用。
C99との組み合わせを前提に開発されており、シマノが公開している「Science of Speed」の考え方に基づき、ライダーが乗車した状態での空力性能まで考慮した設計となっています。
C99・Rear Discともに、2026年10月以降の発売予定です。

旧WH-R9270との違い
WH-R9370シリーズでは、見た目だけではなく設計そのものが大きくアップデートされています。
| 項目 | WH-R9270(旧) | WH-R9370(新) |
|---|---|---|
| スポーク | ステンレススポーク | カーボンスポーク |
| リム内幅 | 21mm | 23mm |
| 推奨タイヤ | 25C中心 | 28〜30C中心 |
| リム設計 | 前後共通 | 前後専用設計 |
| ハブ | カップ&コーン | 新型カップ&コーン(交換式ベアリングカップ採用) |
| TTモデル | なし | C99・Rear Discを追加 |
リム・スポーク・ハブを一体で設計する思想や、現代のレースシーンに合わせたタイヤサイズへの対応など、ホイール全体が一から見直されています。
発売時期・価格
現在発表されている発売時期と価格は以下のとおりです。
| モデル | 発売予定 | 価格(税込) |
| WH-R9370-C36-TL | 順次発売予定 | フロント198,847円 / リア232,866円 |
| WH-R9370-C50-TL | 2026年9月17日発売予定 | フロント198,847円 / リア232,866円 |
| WH-R9370-C60-TL | 順次発売予定 | フロント198,847円 / リア232,866円 |
| WH-R9370-C99-TL-F | 順次発売予定 | 276,396円 |
| WH-R9370-D-TL-R | 順次発売予定 | 526,216円 |
どのモデルを選ぶ?
WH-R9370シリーズは、それぞれのモデルで目指す性能が明確に分かれています。
| モデル | おすすめの用途 |
|---|---|
| C36 | ヒルクライムやアップダウンの多いコース、軽快な加速感を重視する方 |
| C50 | レースからロングライドまで幅広く使いたい方 |
| C60 | 平坦主体のレース、高速巡航やスプリントを重視する方 |
| C99 | TT・トライアスロンで最高の空力性能を求める方 |
| Rear Disc | C99との組み合わせでTT・トライアスロンに挑む方 |
シリーズの中心となるのは、やはりWH-R9370-C50-TL。
重量・空力性能・剛性のバランスが良く、最初に発売されるモデルということもあり、多くのライダーから注目を集めそうです。
製品スペック
WH-R9370-C36-TL

- 価格:フロント 198,847円(税込)
リア 232,866円(税込) - ペア重量:1,170g(フロント:523g / リア:649g)
- リムハイト:36mm
- 内幅:23mm
- 外幅:29.4mm
- 推奨タイヤサイズ:28~30C
- フロントスポーク:18本 エアロカーボンスポーク
- リアスポーク:21本 エアロカーボンスポーク
WH-R9370-C50-TL

- 価格:フロント 198,847円(税込)
リア 232,866円(税込) - 重量:1,302g(フロント:593g / リア:709g)
- リムハイト:50mm
- 内幅:23mm
- 外幅:31mm(フロント)、32mm(リア)
- 推奨タイヤサイズ:28~30C
- フロントスポーク:21本 エアロカーボンスポーク
- リアスポーク:21本 エアロカーボンスポーク
WH-R9370-C60-TL

- 価格:フロント 198,847円(税込)
リア 232,866円(税込) - 重量:1,389g(フロント:632g / リア:759g)
- リムハイト:60mm
- 内幅:23mm
- 外幅:31.5mm(フロント)、32.3mm(リア)
- 推奨タイヤサイズ:28~30C
- フロントスポーク:21本 エアロカーボンスポーク
- リアスポーク:24本 エアロカーボンスポーク
WH-R9370-C99-TL-F

- 価格:276,396円(税込)
- 重量:792g
- リムハイト:99mm
- 内幅:23mm
- 外幅:35.2mm
- 推奨タイヤサイズ:28~30C
- スポーク:16本 スーパーエアロカーボンスポーク
WH-R9370-D-TL-R

- 価格:526,216円(税込)
- 重量:987g
- 内幅:23mm
- 推奨タイヤサイズ:28~30C
- フルディスク構造
- C99との組み合わせを前提に開発
まとめ

リア 232,866円(税込)

リア 232,866円(税込)

リア 232,866円(税込)


まとめ
WH-R9370シリーズは、シマノ初のカーボンスポーク採用が大きな話題ですが、本当の進化はホイール全体の設計思想にあります。
リム・スポーク・ハブを一体で設計し、軽量性・空力性能・剛性・回転性能を高いレベルでバランス。さらに、23mm内幅リムや前後専用リム形状、新型ハブなど、現在のレースシーンに合わせたアップデートも数多く盛り込まれています。
まず発売されるのは、シリーズの中心モデルとなるWH-R9370-C50-TLで、発売予定日は2026年9月17日。その後、C36・C60・C99・Rear Discも順次発売予定です。
新型DURA-ACEホイールが気になる方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。