
先日、スペシャライズドから、新型ロードバイクS-Works Tarmac SL9が発表されました!
「SL8の完成度高かったけど、次はどう進化するんだろう?」
そんなふうに気になっていた方も多かったのではないでしょうか。
実際、写真だけを見るとSL9はSL8とよく似たシルエットで、ぱっと見では「どこが変わったの?」と思うほど。
ですが、細かく見ていくと、フレーム各部にはしっかりと手が加えられています。
今回スペシャライズドが目指したのは、「風洞実験で最速のロードバイク」ではなく、実際のレースでより速くゴールできるロードバイク。
SL8でも高かった完成度をベースに、ヘッドチューブやフォーク、ダウンチューブ、リアセクションまで空気の流れをもう一度見直し、フレーム全体をひとつのシステムとしてブラッシュアップしています。
その結果、45km/h走行時ではSL8と比べて約4Wの空力性能向上を達成しました。
SL9の進化を一言で表すなら、
「フレーム全体の空気の流れを、もう一段磨き上げた一台」
と言えそうです。

主な変更点はこちら。
- Speed Sniffer:さらにスリムになったヘッドチューブ
- Flow Fork:新設計フロントフォークで前輪まわりの気流を最適化
- Dropped Down Tube:ダウンチューブの接続位置を見直し、空気の流れをスムーズに
- Win Fin:リアセクションの後流をコントロールする新形状
- S-Works Rapide Post:空力性能と快適性を両立する新型シートポスト
どれも単体で劇的に速くなるための技術ではなく、それぞれが役割を分担しながら、前方から取り込んだ空気をリアセクションまでスムーズにつなぎ、フレーム全体で空力性能を高めています。
今回は、この5つの新しいエアロテクノロジーを中心に、SL8との違いも交えながらご紹介していきます。
「風洞で速い」ではなく、「レースで速い」を目指したTarmac SL9
今回のTarmac SL9でスペシャライズドが目指したのは、単純に風洞実験で良い数値を出すことではありません。
開発テーマは、実際のレースでより速くゴールできるロードバイクです。

実際のレースでは、ライダーは常にペダリングをしていて、その脚の動きによって空気の流れも大きく変わります。
SL8の開発でも可動脚マネキンは採用されていましたが、SL9ではさらに進化した第6世代 Moving Leg Mannequin(可動脚マネキン)を導入。

さらに風洞実験だけでなく、コースプロフィールや勾配、ライダーの出力、風向きまで考慮した「Time to Finish(ゴールまでのタイム)」という評価方法も取り入れています。
つまり、「空力が良いバイク」を作るのではなく、「実際のレースで速いバイク」を作るための開発へ、さらに踏み込んだというわけです。
その考え方を形にしたのがTarmac SL9。
ヘッドチューブからリアセクションまで空気の流れをひとつにつなげて設計することで、45km/h走行時にはSL8より約4W空力性能を向上させています。
そして、その進化を支えているのが、これからご紹介する5つの新しいエアロテクノロジーです。
① Speed Sniffer:さらにスリムになったヘッドチューブ
最初にご紹介するのが、フロントまわりの空力性能を高める「Speed Sniffer(スピード・スニファー)」です。

Speed Sniffer自体はSL8から採用されていましたが、SL9ではさらにブラッシュアップされています。
一番大きな変更は、ヘッドチューブを約4mmスリム化したこと。
これにより前面投影面積は約10%削減され、ロードバイクの中でも最初に風を受けるフロント部分の空気抵抗をさらに抑えています。

「ヘッドチューブを細くしただけ?」と思うかもしれませんが、実は見えない部分も変わっています。
SL8でもかなり細いヘッドチューブでしたが、それ以上細くしようとすると、今度はフレーム内部を通るリアブレーキホースのスペースが足りなくなってしまいます。
そこでSL9では、新たにOffset Steerer(オフセット・ステアラー)を採用しました。
通常は真っすぐなステアラーコラムをノンドライブ側へわずかにオフセットすることで、リアブレーキホースのスペースを確保しながら、ヘッドチューブをさらに細くすることに成功しています。

見た目では気付きにくい変更ですが、この構造変更によってフロントまわりのエアロ性能はさらに磨かれています。
もちろん、Tarmacらしいシャープなハンドリングや高い剛性はそのままです。
② Flow Fork:前輪まわりの乱れた空気をコントロール
次にご紹介するのは、新設計の「Flow Fork(フロー・フォーク)」です。

SL8でも前輪まわりの空力性能は高く評価されていましたが、SL9ではフォーク単体ではなく、その先につながるフレーム全体まで含めて見直されました。
フォークブレードの断面形状や幅、クラウン形状を一から設計し直し、前輪まわりの気流をよりスムーズに整えています。
特徴的なのは、フォークブレードがわずかに外側へ広がるデザインです。

この形状によって、ホイールから生まれた気流をフォークに沿って後方へ導き、乱流を抑えながらダウンチューブへ受け渡します。
ここで終わらないのがSL9。
Flow Forkは単独で空力性能を高めるためではなく、このあとご紹介するDropped Down Tubeへ空気をきれいにつなぐ役割も担っています。
③ Dropped Down Tube:空気の流れを途切れさせない新設計
Flow Forkで整えられた空気を、できるだけスムーズにフレーム後方へ送り込むために採用されたのが、「Dropped Down Tube(ドロップド・ダウンチューブ)」です。
SL9では、その名のとおりダウンチューブの接続位置を従来より低く配置。フォーククラウンからダウンチューブへつながるラインを見直すことで、空気の流れが途切れにくいフレーム形状になっています。


一見すると小さな変更ですが、この部分の段差を減らすことで、Flow Forkから送り出された気流をよりスムーズにリアセクションへ流せるようになりました。
もちろん、この新しい形状を実現するためには工夫も必要です。
ダウンチューブの位置を下げると、ハンドルを大きく切ったときにフォークとフレームが接触する可能性があります。
そこでSL9では、新たにロードバイク向けに最適化されたステアリングストッパーを採用。十分なハンドリング性能を確保しながら、フォークとのクリアランスもしっかり確保しています。

SL8から大きく形が変わったようには見えませんが、こうした細かな変更の積み重ねがSL9の空力性能を支えています。
④ Win Fin:リアセクションの空気を最後までコントロール
今回のSL9で、見た目が最も大きく変わったポイントと言えば、この「Win Fin(ウィンフィン)」ではないでしょうか。
シートチューブ後端に追加された小さなフィン状のデザインは、写真を見て気になった方も多いと思います。

もちろん、これは見た目のためだけに追加されたものではありません。
高速で走行すると、空気はフレーム後方で剥がれ、大きな渦(後流)が発生します。この後流が大きくなるほど空気抵抗が増え、巡航性能にも影響してきます。
Win Finは、この空気の剥離をコントロールし、後流をできるだけ小さくまとめることで空気抵抗を抑えています。
そして、もうひとつ面白いポイントがあります。
スペシャライズドはフレーム単体ではなく、実際にレースで使用する状態を前提に空力解析を行っています。
ロードレースでは、多くのライダーがダウンチューブにボトルを1本装着して走ります。
SL9のWin Finも、その状態でリアセクションの気流が最適になるよう設計されています。
つまり、「何も付いていない状態」で最速を目指したのではなく、実際のレースで一番速く走れることを優先した設計というわけです。
小さなパーツですが、フロントから流れてきた空気を最後まで整える、SL9の空力性能を支える重要な部分になっています。

⑤ S-Works Rapide Post:空力性能と快適性を両立
リアセクションでもうひとつ進化したのが、新設計の「S-Works Rapide Post」です。
SL9ではシートポストもフレームの一部として、空力性能を左右する重要なパーツになっています。

ここでポイントになるのが、冒頭でもご紹介した第6世代 Moving Leg Mannequin(可動脚マネキン)です。
解析を進める中で分かったのは、ペダリングしている脚のすぐ後ろには、想像以上に複雑な空気の流れが生まれているということ。
つまり、シートポストは単にサドルを支えるだけではなく、その乱れた空気を受け止める場所でもあったわけです。
そこでSL9では、シートポストの断面形状を一から見直し、脚の動きによって変化する気流まで考慮した新しいRapide Postを開発しました。
SL8でも快適性の高いシートポストでしたが、SL9では「ライダーが乗っている状態」での空気の流れまで設計に取り入れているのが大きな違いです。
もちろん、空力性能だけを追い求めたわけではありません。
カーボンレイアップも最適化することで、路面から伝わる細かな振動をしっかり吸収。レースはもちろん、ロングライドでも疲れにくい乗り味に仕上げられています。
こうして見ていくと、SL9はSpeed Snifferから始まり、Flow Fork、Dropped Down Tube、Win Fin、そしてRapide Postまで、それぞれが別々に性能を高めているわけではありません。
フロントで受けた空気をリアセクションまでつなぎ、最後まできれいに流し切る。
そんなフレーム全体をひとつのシステムとして考えた設計こそが、SL9最大の進化だと感じます。
エアロだけじゃない。SL9は”走りの質”もしっかり進化
ここまで空力性能を中心にご紹介してきましたが、SL9の進化はそれだけではありません。
Tarmacシリーズらしい軽さや剛性、快適性はそのままに、細かなブラッシュアップもしっかり行われています。
フレーム重量は687g。軽さはそのままトップクラス

エアロ性能を高めると、そのぶん重量が増えてしまうケースも少なくありません。
ですが、S-Works Tarmac SL9のFACT 12rカーボンフレームは687gと、SL8とほぼ同じ軽さをキープしています。
つまり、空力性能だけが向上したのではなく、Tarmacらしい軽さもしっかり維持。
ヒルクライムから平坦、高速巡航まで、オールラウンドバイクとしての魅力はそのままです。
剛性や快適性はSL8の高い完成度を継承
SL8は、軽さ・剛性・快適性のバランスが非常に高く評価された一台でした。
SL9では、そのバランスをあえて大きく変えていません。
ライドクオリティやフレーム剛性はSL8とほぼ同等。
だから「別物のバイク」というより、SL8を乗り慣れた方なら違和感なく乗り換えられる仕上がりになっています。
そのうえで空力性能だけをもう一段引き上げているのが、SL9のポイントです。
標準装備は30Cタイヤ。クリアランスは最大32Cまで対応
完成車には30Cタイヤを標準装備。
最近ではプロレースでも30C前後のタイヤを使うケースが増えていて、SL9もそうしたトレンドに合わせた仕様になっています。
30Cタイヤは転がり抵抗やグリップ、快適性のバランスが良く、レースはもちろんロングライドとの相性も抜群です。
フレームの最大タイヤクリアランスはSL8と同じ32C。
最新のワイドタイヤにも余裕を持って対応できます。
UDH対応で将来性やメンテナンス性も向上
もうひとつ見逃せないのが、UDH(Universal Derailleur Hanger)への対応です。
SL8は専用ハンガーでしたが、SL9ではUDH規格を採用。
万が一ハンガーを曲げたり破損した場合でも交換部品を手に入れやすくなり、出先でのトラブルにも対応しやすくなりました。
さらに、今後登場するコンポーネントへの対応という面でもメリットがあります。
見た目では分からない変更ですが、長く乗ることを考えると、こういうアップデートはうれしいポイントです。

Team Replicaカラーも同時発表!
SL9の発表にあわせて、プロチームが実際にレースで使用するデザインを再現したTeam Replica(チームレプリカ)カラーも同時に発表されました。
ラインナップは以下の4チームです。
- Red Bull – BORA – hansgrohe
- Soudal Quick-Step
- FDJ United
- SD Worx – Protime




どのカラーも、それぞれのチームバイクを忠実に再現した特別なデザイン。
普段レースで見ているバイクと同じカラーリングで走れるのは、Team Replicaならではの魅力ですね。
なお、Team Replicaカラーはスペシャライズド公式オンラインストアでの抽選販売となっています。
当選された車体は、受け取り店舗として当店をご指定いただくことも可能です。
納車前の組み立てやポジション調整はもちろん、ガラスコーティングやホイール・タイヤ・サドルなどのカスタムもお気軽にご相談ください。
せっかくの特別な一台だからこそ、ベストな状態でお渡しできるようしっかりサポートいたします。
ラインナップ・価格
今回発表されたTarmac SL9は、S-Worksグレードの完成車とフレームセットがラインナップされています。
完成車はもちろん、「お気に入りのホイールやコンポーネントで組みたい」という方にはフレームセットという選択肢もあります。
| モデル | フレーム | ホイール | コックピット | コンポーネント | 価格(税込) |
| S-Works Sram Red AXS | FACT 12r | Rapide CLX III | Roval Rapide Cockpit | Sram Red AXS | 1,980,000円 |
| S-Works Shimano Di2 | FACT 12r | Rapide CLX III | Roval Rapide Cockpit | Shimano Dura-Ace Di2 | 1,980,000円 |
| S-Works フレームセット | FACT 12r | - | - | - | 880,000円 |
| S-Works Team Replica フレームセット | FACT 12r | - | - | - | 935,000円 |




その他のカラーはこちら
ご注文・ご予約受付中です!
現在、店頭展示車・在庫車はございませんが、完成車・フレームセットともにご注文・ご予約を承っております。
「自分にはどのサイズが合う?」
「完成車とフレームセット、どちらを選べばいい?」
「今使っているホイールやコンポーネントは流用できる?」
「納期はどれくらい?」
そんな疑問がありましたら、お気軽にご相談ください。
サイズ選びはもちろん、ホイールやタイヤ、サドルなどのカスタム、ガラスコーティングについてもご相談を承っています。
ハイエンドロードは決して安い買い物ではありません。
だからこそ、お客様の乗り方やご希望に合わせて、一台一台しっかりご提案させていただきます。
新型Tarmac SL9が気になっている方は、ぜひお気軽にスタッフまでお問い合わせください。
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